Wednesday, April 30, 2008

『移動の技法』#8


そして、当然のようにわたしはこの部屋でひとりでいるのだ。部屋がそこになんの感情も情緒も満たされぬとき、ひとつの窓があれば救いとなるだろうか。天空がフレーミングされ、それは記憶へと変容する。(血を引き裂く夕映え!)。カルメンは、大通り沿いの部屋でテレヴィを観ている。わたしは通りと反対側の個室。冷たくなった乳白色の壁。その冷たさを感じるためにそれを愛撫している。頬、そして掌。感じる、冷たさ。もうひとつの姿勢。アラン・ドロンモニカ・ヴィッティ<の>冷たい熱情。天空。壁。世界。愛。

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