Saturday, March 31, 2007

Mexico City Blues


長屋さんが、今月初めからメキシコへ渡り、CEPEでスペイン語を勉強していて、ブログをつうじて懐かしい映像を送ってきたりするものだから、ここのところよくメキシコ時代のことを思い出す。CEPEとは、Centro de Enzeñanza para extranjerosの頭文字をとったもので、「外国人のための教育センター」という意味。メキシコ自治大学という大学の中にある。スペインのことはよく知らないけれど、外国人がスペイン語を学ぶのに、ラテンアメリカではおそらくもっとも充実した教育機関だと思う。スペイン語をまったく知らなくても、授業は初級からすべてスペイン語のみで行われる。いやがおうでも学ばざるを得ない雰囲気がある。ぼくのスペイン語の基礎はすべてここで勉強した。
学生時代から影響を受けたビートニックの作家がしていたように、将来のあてもなくセントロにあるホテルに長期滞在して、スペイン語を勉強していることだけが、唯一世間に対する言い訳のようだった。メキシコから南へ向かって旅をしようとしていた早稲田の学生が、ホテルの同じフロアに部屋を借り、しばらくしたらソナ・ロサにある別な語学学校に入学していた。ぼくが使っていた当時出たばかりの小学館のスペイン語辞典を羨ましがって、とうとう実家から送ってもらった。その彼も今は大学でスペイン語の先生をしていて、その辞書の改訂版を作るのに関わっている。人生って面白いと、こういう話しを聞くとほんとうに思う。
ぼくはといえば、憧れていたビートニックの作家の何人かのように破滅を目指していたように思う。抱えきれないことが多すぎて、数年後にはそれはおおよそ実現したのだろう。現在はある意味おまけの人生といってもいい。
写真は、1950年代にウィリアム・バロウズが住んでいたアパートだ。ここにジャック・ケルアックなんかが遊びに来て、ドラッグに浸って何日もいた場所でもある。ここの番地はOrizaba210といい、ケルアックはその番地をそのままタイトルにした数編の詩を残してもいる。この文章のタイトルにしたMexico City Bluesも同じシリーズの詩集の名である。思潮社から池澤夏樹の翻訳も出ている。たとえばこんなやつがある(ほんとうに久しぶりに手にした。やはり素晴らしいと思った)。

コーラス126

あなたの家が
火事です

と人に教えても
    結果は小川に棒に一本で
    せきとめるようなもの
老いて賢い父になる
 ブッダは
遁辞を用いて
 衆生を救う

「おちびさんたち
出てこないと火傷をするよ」
  荷車を
あげるから出ておいで
すてきな荷車が三台、山羊のと
鹿の荷車と
牛の荷車

荷車はオレンジや、花や、木や、天女で
きれいに飾ってあげるよ」
子供たちは家をとびだしてくる、救われる
  するとブッダは
  真っ白な牛の牽く
見たこともないような大きな荷車をやるのさ



(ぼくのTaipei Bluesはもちろんこのパクリ)。

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