今日は昼からお休みをもらって、京都コンサートホールへ高橋悠治さんのピアノコンサート。2年前の同じ時季に、高知の美術館のホールにゴールドベルクを聴きに行って以来だろうか。
今日のプログラムは、バッハの平均律から数曲選んで始まり、ブゾーニを3曲。休憩を挟んで、高田和子を悼んだ悠治さん自身の作品とカタルーニャ人の作曲家モンポウの『沈黙の音楽』。アンコールにはジョビンの曲をやるなど、なんてシブイ選曲。辺境なんて言葉すら浮かぶ。
クラシックの音楽家が売れてテレビに出て、ほとんどポピュラーとの境がなくなってしまった現代、悠治さんはひとりで闘いつづけている。取るに足らない人が多い中、数少ない心から信用できる人だ。曲を作りピアノを弾く。何という心許ない武器に見えるが、一度音がホールに響けば何という強力なのかと思う。これもまた闘争の最小回路だ。そういえば最近ホームページにサパティスタに想を得た合唱曲の楽譜もアップされている。
大阪へ戻り、ミンガスでカツカレーを食べて九条のシネヌーヴォ。今日から始まったファスビンダー映画祭で、75年の作品『少しの愛だけでも』観る。親子の葛藤。愛情。欲望と消費。精神分析。時代のアイテムがすべて揃っている。ぼくらがファスビンダーを見始めた頃彼はもうオーバードーズで逝ってしまったいたが、ダニエル・シュミットや同時代のドイツ映画に出てくる彼はとにかくかっこよかった。そして今でもぼくのアイドルでありつづけている。
シネ・ヌーヴォは若い人もそうでない人も取り混ぜてかなり多くのお客さんで一杯で、それがまた嬉しいところだった。
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