Thursday, March 8, 2007

temblar(2)


temblarは、スペイン語で「揺れる」という意味。地震で揺れるなどというときに使う。あっという間に第一線からいなくなってしまった河合隼雄が、90年代、不況になってみんな疲れてしまったときに、よく対談などに引っ張り出されて言っていた。「子供にとって両親の離婚などはまるで大地震が来たようなものなのです」。じっさいの地震と、人生を揺らすものとしての地震のメタファー。まるで違うようで、じつは大きく絡まっている。じっさいに地震が来たときは、多くの壊れた家族は修復しようとした。ぼくが今翻訳している(そしてじっさいは、祐樹の死以来ぴったりと作業は止まってしまっているのだけれど)チリの作家Alberto FuguetLas peliculas de mi vidaもまさしく、地震とそれに揺さぶられる人生を描いた作品だ(彼がぼくと同じBloggerのブログを使っているのは偶然。べつに真似をしたわけではない)。チリは南半球で、ちょうど日本のような地点に位置している。地震も多い。クライストの『チリの地震』というそのままの短編もある。
これということがあったようななかったような。でもまるで地震の後のようにぼくの人生も揺れつづけている。怪我で身体が痛いけれど、それはいったい何のダメージだったのだろう?何かを錯覚したようにまるで分からなくなってしまった、と言えば、今日語ろうとしたことが伝わるだろうか。
先週、怪我が少しでも早く治るようにと、有馬の温泉に浸かりに行った。写真はそのときのもの。色んな人と、色んなときに行った。そんなときのことを思い出しながら夜道を山を越えて車を走らせていた。朱く金属が混じった湯にじっと浸かっていた。

1 comment:

mata said...

アテのマエダです。
どうも。
MSAのHPから飛んで来て、しばらく前から見てます。

ケガしてるんですか?ご自愛ください。

実は僕もブロガーです。
http://mda-firstcut.blogspot.com/
音楽ネタばっかりですが、よろしく、よろしく。