チリの作家・映画監督アルベルト・フゲーが、自作の"Cortos"を映画化しているそうで、自分のブログで公開している。
興味深いのは、これがパナソニックのごくごく普通のデジカメを使って撮られていることで、チリの新聞でもそのことにスポットが当てられて紹介されている。フゲーは、この"Cortos"という作品のDVDヴァージョンを作りたいんだと自分のブログに書いている。それにしても、昨今のデジタル商品の進化のテンポはおそろしいくらいで、おそらく子供の運動会を撮っているお母さんが持ってるHDビデオカメラの方が、一時代昔のカメラよりよっぽどクリアに撮れるんだろうと思う。むしろ、プロのクリエーターと呼ばれる人たちが工夫してヴァージョンダウンした機材を使い始めているような感じもする。それにルミックスのレンズはライカだしね。末端の商品にこうしたレンズが付いている、このごちゃまぜ感が現在なんだろうか。
「ご覧のように、何にもなくて、まるで書くように撮影している」。機材がこれほど軽くなればこうした感覚はどんどん進んで、映像作品はますます個人的なものにならざるを得ないだろう。しかし、こんなことはすでにゴダールが1980年代に考えていたことを忘れてはいけない。彼は、監督が自分で8㎜のように撮影できる35㎜カメラをアトン社の技術者に作らせた。『パッション』の冒頭の息をのむようなシーンはそれで撮られていたはずだ。
アルベルト・フゲーに関しては、『ユリイカ』の3月号に、安藤哲行という方が「マッコンドとクラック 新しいラテンアメリカ文学をめざして」という一文を寄せていて、たぶんぼくがラティーナに載せた以外では、日本では初めてのフゲーの紹介になってるんじゃないかと思う。
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