Tuesday, April 29, 2008

『移動の技法』#7

そしてまた曲線の主題。夕刻、西日射す頃その緑色のバスはアラメダを右折してマルコレタへ入りビクーニャマッケンナへ向かうカーブをゆっくり曲がる。バスの小窓からフッと風が流れて「移動の技法」がやって来た。至福なる時間。しかしながら起こったことはこれだけ。つけ足すことも差し引くこともなにもない。それをわたしは「移動の技法」と名づけた。サンティアゴ。

整理しておこう。夕刻。バスの曲線運動。思いがけない微風。(ローレン・ハットンの髪がフワリと靡いている)。そして、客席に漂う通奏低音のような疲労。天駈ける旋律を奏でているのは誰なのだろう。(誰なのだろう)。隣のバスクセンターでは、名も知らぬ球技に男たちが興じる音がつづいている。血を引き裂く夕映え!サンティアゴ。ビクーニャマッケンナ765番地。

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