Saturday, March 1, 2008

患者学・生存の技法

すでに店頭に並んで発売中の『現代思想』3月号は、「患者学・生存の技法」という特集。病や障害に纏わる経済学や、権力関係、テクノロジーとの関係等々などの論文が並んでいる。その中に、去年立命館で行われた障害学会第4回大会で、呼吸器くん共同発表した伊藤佳世子さんの論文「筋ジストロフィー患者の医療世界」も一緒に載っていて、呼吸器くんが雑誌に寄せた文章や直接交わした会話からの引用もある。

立岩さんは、この伊藤論文についてこんな論評をしている(全文はこちら):
伊藤佳世子「筋ジストロフィー患者の医療的世界」は、「メディア」に載る文章としてはたぶん筆者の最初のものだが、しかしそれは、医療や看護の学界・業界全体においても――その世界にとってもまったく残念なことに――正面から書かれることのなかったことを書いていて、その意味でも最初のものになっている。

内容はまさに、立岩さんの言うとおりで、伊藤さんが当事者と会って話したことや、実際に全国の国立療養所を回って見聞きしたことが下敷きになっていて、学者が調べて書いたこととは一味も二味も違っている。執筆の動機は「怒り」であり、知ってしまったことは伝えなければならないという使命感だと思う。
願わくば、この論文が学者や知識人の世界だけで留まるのではなく、ぜひ国立療養所や病院などの現場の人に広く知ってもらい、なんらかの動きが出てそれが変化へと結びついてくれたらと思う。そしてさらにそこに収容されている人たちの当事者運動へとなってくれたらと。

それにしても、ぼくは大学時代哲学なんてものをやってたもので、この雑誌は以来、その時々にチェックしているものなんだけれど、こんな身近な人が関わるなんてのは、はじめてで何かおかしな感じ。

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