神戸までジュリアン・シュナーベルの『潜水服は蝶の夢を見る』を見てきた。
先々週だったかも、見に行こうかなって思ったんだけれど、なんとかく気乗りがしなくやめた。今朝も今日は映画でも行こうかなとMovie Walkerを調べていたら、村上隆がこの映画について語ったインタビューが載っていて、たいそう褒めていたので、ちょっと行ってみる気になった。村上隆は、ぼくと同じくらいの年齢なので、やはり彼のジュリアン・シュナーベルのファンだったんだと思ったが、今の彼の作風とはあまりにもかけ離れているので、少し意外でもあった。
それにしても、80年代のシュナーベルの勢いはもの凄く、とにかくかっこよかった。ここに載せた、皿をばらばらにして、油絵のキャンパスにはっつけた一連の巨大なキャンバスは、今見ると懐かしくすらあるけれど、当時の精神をぴったり表したものだった。当時のロックのシーンとも完全にシンクロしていて、とくに、ジョイ・ディビジョンのイアン・カーティスの肖像があって、それなシュナーベルのキャリアの頂点だったのではないかと思う。
さて映画の方は、村上に寄ればこれはシュナーベルが、表現するものの苦悩のようなものを描いたものらしいが、ぼくには映画で表現できることを素朴に信じすぎているように感じた。むしろ脳梗塞によって、全身が麻痺し、ロックト・イン状態になった主人公やそれらを取り巻く、家族や友人医療関係者との関係を見て、以前関わっていたALSの利用者の人のことなどを思い出していた。映画を見に行ったというより、仕事の延長のようだった。そうした観点ではよくできていたと思う。文字盤を通したコミュニケーションやもろもろ。主人公はそれで、本を書いてしまったのだけれど、それが奇跡的だとは言ってほしくない。本を書くことはなくてもみんなこの方法で、ふつうに会話をしている。今はコンピュータを使って、文字を書くことももっと普通になっているだろう。
終了後、神戸から元町まで歩き、何年かぶりに淡水軒で夕食。ワンタン麺と有名な餃子とビール。おいしい。
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