Wednesday, March 19, 2008

ゴダール伝

ずいぶんと前に買ったものだけれど、400頁超の本で、こればっかしを読んでいるわけでもないから、手間取っていたけれどやっと読了した。ゴダール伝』みすず書房、コリン・マッケイブ著、堀潤之訳。しかし、読み終わった感覚は意外とコンパクトな伝記だったなというもの。ゴダールの祖父の時代から、最近の出来事まで、丁寧に彼の人生を追っている。知っているようで知らない、ヌーベルヴァーグの頃の人間関係など、ゴダールとこの頃の映画が好きな人なら興味が尽きないと思う。
この本が俄然生き生きとしてくるのは、イギリス人の著者が映画制作者として個人的にゴダールと関わり出す1979年以降の記述で、主観が入り、立ち位置がはっきりしたところから観察される文体は明らかに、生気が生まれていると思う。それはゴダール自身の人生が、政治の季節を脱し、映画の世界へ戻り、作品がどんどん深みを増していく時期と重なり、この後3分の1くらいはあっという間に読んでしまった。
昔、別なゴダールの本を読んでとても影響を受けたのだけれど、忘れてしまっていた感覚を思い出すことができた。

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