Friday, April 20, 2007

プロザックを食べたらいいじゃない

ヴァージニア工科大の犯人が、精神が不安定で、カウンセリングの対象だったと報道されている。グーグルのニュースを色々見ていると、シカゴ・トリビューンのブログに、チョー容疑者が抗鬱剤を服用していたという記事が載っていた。記事では、不幸な偶然としながらも、コロンバイン事件や、他の銃殺事件の犯人も抗鬱剤を飲んでいたことが書かれている。ちょうど、みすず書房から出ている『抗うつ薬の功罪』という本を読んでいるものだから、またしてもかと思う。この本でも、1989年に、ケンタッキーで、職場の同僚9人を射殺して自殺した男の事件が取り上げられている。
この本は、プロザックなどの90年代以降に出てきた新種の抗鬱剤が、自殺を誘発する危険がありながら、企業が適切な対応を取らなかったことを告発したもので、原書のタイトルはもっと刺激的な、『プロザックを食べたらいいじゃない』(マリー・アントワネットが、食べるもののない民衆に「ケーキを食べたらいいじゃない」と言ったことをもじったらしい)。企業の研究者や関係者が、献金などで癒着して危険を知りながらなかなかそれを表だって言わないのはタミフルと同じ構造。プロザックを開発したリリー社は、抗鬱剤を飲むような人はもともと自殺をするような傾向を持った人だったと抗弁しつづけていた。著者はそうであるけれども、こういった薬には、それにも増して、危険を助長する傾向があることを明らかにしていく。ちなみに、プロザックは日本では認可されてません。そういえば、プエルトリコで音楽のプロデューサーをしている知人に、この人は本職が薬剤師さんでもあるのですが、「ちょっと最近精神的に落ち込んでて」ってメールに書いたら、「プロザックを飲みなよ」って返ってきたことを思い出します。90年代のことでした。なんだかそんな感じの時代だったんだなって思います。

それにしても、23歳という年齢を思っていると、昨年この年齢を目前にして、同じように自分以外のものに毒づいて死んでいった利用者の男の子のことを思い出していた。理想と現実のバランスが崩れる最初の関門なのか。シナリオを書いて、ある種のカタルシスを得ていたところも似ているね。

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