Sunday, January 27, 2008

el adiós #1

このブログのタイトルは、El Documentalistaといって、もともとぼくが一本のビデオ作品を作り上げた後に書き始めたもので、2作目3作目と続くはずのものの、メモのようなものとして拵えたものだった。"temblar"と題されている一連のシリーズはたしかにそうした役割だったけれど、この一年ほとんど実作はしてなかった。メキシコへ行ったときにもビデをを回していたし、呼吸器系の題材もだいたい撮っておいた。それはいつか纏めるはずの、二つの作品のための取材ではあるのだろうけれど、なんだかものを作ってる感覚とはちがうんだな。
イメージという言葉はまったく一般化していて、陳腐でさえあるんだけれど、ものを作ることは、持っているイメージにいかにして現実的な手立てをしていくのか、だと思う。メキシコで撮ったりしているものは、漠然としたイメージは持っているけれど、そこへ動こうとする力がまだ働いてないというか、労力とか精神力が働いていない。だからものすごくエネルギーが使い切れていないような不満がつねにある。じっさいには、temblarにはまだ少し準備しないといけないことがあるし、呼吸器系の方はまだイメージができていない。
でも、年末頃からこのままぼくは何もしないのでは?という不安ももたげ、気合いを入れるために、デビッド・リンチが、インランド・エンパイアーで使ったソニーのカメラ(正確にはその後継機だけれど)を買っちゃった。このカメラは、DVCAMという形式で、これまで業務用の定番だったのだけれど、だんだんHDに移行してきて値崩れだしたので思い切って買っちゃった。重さ2.6キロで前に使っていたのが1キロを切ってるから、どうかと思ったけれど重さはそう感じない。むしろ小さすぎてほとんど触れないボタンにきっちり指が行くので、ものすごく使いやすい。映像はHDに慣れているとかなりぼけた感じに思うかも知れない。むしろフィルムを扱っている感覚に近い。
で、今年になってひとつ作り始めてる。"el adiós"と名付けた。Orquesta Zodiacの曲からとったが、もともとの連想はチャンドラーだ。一昨年末に纏めた、亡くなった筋ジスの男の子のことをインタビューした作品を元にして、それから2年後のことを何か語れるんじゃないかって思ってやっている。彼の死はほんとにショックで、何をどう考えたらいいのかも分からなかったから、うまく作品にならなかったということもあるし、纏めたものを見た人には色々反響も与えた。そうしたものも含めてやっと客観的に何か語れるんじゃないかと思ってる。当時のものはハンディカムで、新たに撮る分はソニーのPD170を使って撮りそこにはめ込むような形で編集も始めてる。編集の作業はやっぱり一番楽しいね。自分の無意識も現れるので怖くもありますが。

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