夜、ふたたび街へ出て、ぶらつきながら写真を撮り歩く。まるでライトアップされたかのような灯りだけれど、ここではこれが普通。とてもきれいだ。そしてそんなときどこかから太鼓を鳴らすような音が聞こえてきて、近づいてくる。それと一緒に波になったような人の群れも。先住民時代の民族衣装に身を包んだ一団が、マリア様の像を御輿のように担いで行進している。
そうだ。死者の日の前日にあたり、皆はミサのために教会へ向かっているのだった。思わず、ビデオを撮りだして追っかけながら撮影する。そして、そうしながらこの音楽はどこかで聴いたことがあると感じる。
それは、ここへ来るまでバスの中でずっと聴いていたカフェ・タクーバだった。「異教の音楽」という言葉が浮かび、カフェ・タクーバはまさにロックというキリスト教を、メキシコ化しているバンドなのだと思った。彼らがデビュー以来ずっと人気を保ち、もっともメキシコらしいバンドである由縁である。
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