秋に短い旅をしようと、久しぶりに「Mexico & central america handbook」を取り寄せた。この本はもともとイギリスのRand McNallyから出版されていた「South American Handbook」から、16年前にメキシコと中米の部分が分かれてできたもので、当時の'Handbook'という呼称も今は取れている。ぼくが初めてこの分離前のハンドブックを手にしたのは1988年だった。メキシコ・シティで買った。ジョン・ブルックスという人が編集していて、翌年彼が急死して、編集方針が変わったらしく、メキシコと中米、カリブが独立して、どんどん冊数が増えていった。かつては、聖書のように分厚いと云われていても、それ一冊でラテンアメリカ全部をカヴァーしていて便利だった。紙も薄く作ってあったので、マリファナを巻いて吸うなんていう使い方もあった。ラテンアメリカを長期に旅をするのに、そんなに何冊ももって歩くなんていうのはありえなくて、そういった長期にわたる旅のスタイルも終わったのか、時代は90年代に入っており、だんだんせちがらくなって行っているような気分にさせられた。サウスアメリカのハンドブックは、ベン・ボックスという人に引き継がれ、今ももちろん健在。なんと84版になる。
さて、このハンドブックのシリーズ、出版社も変わっているようで、Footprintという会社。以前は堅い表紙の本だったが、それもペーパーバックになっている。見やすいが旅行に持って行くとすぐにボロボロになるんだろうな。そのメキシコ版、めくってすぐ見える内表紙が上の写真。"A border is always a temptation"というラリー・マクマートリーの言葉がぐっとそそる。
そもそも、今回の旅は、ちょうど20年前の今頃の季節に初めて旅に出て、アメリカ〜メキシコのボーダーを越えたことを思いだし、ふともう一度あのエル・パソ〜フアレスの国境を越えてみようかと考えたのがきっかけだったから、この一節にはグイッと心臓を捕まれるような気分だ。
なぜ人は旅に出るのか?なぜぼくは旅に出るのか?
すべてが終わってしまって、もう旅に出ることしかなくなってしまったような気持ちになったからじゃないだろうか?旅にはとってもいい風が吹いていると思う。
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