Tuesday, September 18, 2007

中村かれん

昨日、一昨日と京都の立命館大学で行われた障害学会へ行ってきた。
呼吸器くんが、千葉大学の大学院生の研究発表に共同発表者として名を連ねたため、介助者として一緒に行ってきた。呼吸器くんのいるロビーのポスター発表のところにずっといたので個々の研究者の発表は、ちゃんと聞けなかったのだけれど、両日ともシンポジウムはゆっくり座って、議論を追うことができた。一日目は、社会保障のひとつの方法として少しずつ、名前も浸透してきているベーシックインカムについて。二日目はろう者学と障害学の対話の可能性のようなテーマ。
シンポジストのひとりとして、数年前、うちの事務所に研究に来ていた中村かれんさんが来ていて、一日目のプログラムが終わった後の交流会で話しかけると、ぼくのことはすっかり忘れられてた(笑)。で、改めて自己紹介してしばらくお喋りした。
かれんさんは、エール大学の準教授。文化人類学者。生粋の日本人なんだけれど、両親の暮らすインドネシアやオーストラリアで幼少期を暮らすうちに、英語が第一言語で、日本語は後天的に学んだという経歴を持つ。日本人なんだけれど、ちょっとへんで、誰にでもすぐに話しかけるけれど、すぐに忘れてしまう。独特の軽やかさとユーモアを持ってる彼女のことがぼくはとても好き。
シンポジウムも彼女の話が圧倒的に面白かった。ろう者学に障害学は必要か?彼女はNoだと言っていた。彼女がやったアメリカと日本のろう文化の違いを比較した研究を駆け足で紹介した後、そうではなく障害学にはデフ・カルチャーというしっかりしたバックボーンを持つろう者学が必要だと締めくくった。それは、簡単に言うと、障害学にはもっともっと当事者の視点が必要だということだった。
彼女は今、北海道の浦河にある、精神障害者の支援で有名なべてるの家で研究をつづけているのだけれど、当事者が主体になっていると言われるべてるの家でも、まだ支援者の方が強いと言い、べてるから支援者を取っ払ったのがぼくが勤めているメインストリーム協会だと言ってくれたのが、かなり誇らしかった。かれんさんは、ポーカーや競馬をメインストリーム協会で学び、それをアメリカの学会で発表したと、いたずらな笑いをしていた。
今回改めて、かれんさんのことを検索しているとこんなサイトも作っていることが分かった。そう言えば統合問題で何度も厚生労働省前でデモしたとき、カメラを持って抗議する人を撮っていた彼女を思い出した。

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